停電で電動シャッターが動かないときは、手動に切り替えて開けられる製品があります。
ただし、窓用と車庫用、さらに同じメーカーの製品同士でも、操作方法は共通ではありません。見つけたひもやレバーを、とりあえず引くことは避けてください。
シャッター修理ガイドの相川です。約30年、シャッター修理に携わってきました。手動操作で大切なのは、機種を確かめることと、停電と機械の故障を分けることです。
三和・文化・LIXIL・YKK APの確認先や操作方式の違い、手動で動かしてはいけない状態、電動へ戻す際の注意点を説明します。
- 手動で開けられる製品と操作前の確認事項
- メーカーや機種によって異なる切り替え方式
- 開かない・重いときに操作を中止する判断
- 停電復旧後に電動へ戻す際の注意点と依頼先
手動操作の前に確認したいシャッター修理
動かない原因が停電だけなら、説明書に沿った非常時の操作が使える場合があります。
一方、板の傾きや部品の破損がある場合は、手動に切り替えても安全に開けられるとは限りません。まず現在の状態を確認しましょう。
停電と故障を分けて考える
照明やほかの電気設備も止まっているなら、停電の状況を確認します。シャッターだけが動かない場合は、リモコンや電源、機械部分など、別の原因も考えられます。
停電時の手動操作は、故障したシャッターを力で動かすための方法ではありません。接触事故のあとに止まった、斜めになった、大きな音がして動かなくなった場合は、操作を中止してください。
板が傾いている、レールから外れている、部品が落ちそうな場合は手動操作をしないでください。シャッターの下へ入ったり、人の手や棒で支えたりせず、離れた位置から状態を伝えます。
落雷や浸水のあとも、単なる停電として扱わないことが大切です。焦げ臭さや水濡れがある電気部品には触らず、異常の内容を伝えて点検を依頼しましょう。
窓用と車庫用を確認する
- 窓シャッター:室内側の操作ハンドルや切り替えレバーなどを使う製品があります。
- 車庫や店舗のシャッター:ひも、リング、ワイヤ、チェーンなどを使う方式もあり、操作する場所も異なります。
同じようなひもでも、役割は同じとは限りません。手動への切り替え、電動への復帰、下降操作など、別の目的で使うものがあります。
説明書では、商品名と型番に加え、操作部の形や取り付け位置が一致するかを確認してください。窓用の説明を車庫用に使ったり、似た写真の手順を別の製品へ当てはめたりしないようにしましょう。
型番と操作部を照合する
手元に取扱説明書や保証書があれば、停電時の操作、非常時の開閉、手動への切り替えなどの項目を探します。ラベルを確認するときは、安全に見える範囲だけで大丈夫です。
説明書がない場合は、次のものを用意して、購入先やメーカーへ問い合わせます。
- メーカー名
- 分かる範囲の型番
- シャッター全体と操作部の写真
リモコンの番号だけでは、本体を特定できない場合もあります。メーカーごとの説明書の入手方法は、電動シャッターの取扱説明書の探し方でまとめています。
上部の箱を分解して番号を探す必要はありません。特に高い場所の点検口を開ける作業は、転落や部品落下の危険があります。操作部が見つからない場合は、そのまま相談してください。
操作方式と復帰方法を見比べる
メーカー別の違いは、手動にする部品だけではありません。操作できる条件、手動中の施錠、電動へ戻す方法まで違います。説明書を見る際は、次の点を確認してください。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 対象製品 | 商品名・型番・仕様・操作部が一致しているか |
| 手動操作の条件 | 停電時の操作か、利用者が行える方式か |
| 切り替え操作 | 対象のハンドル・ひも・レバーと操作の順序 |
| 開閉方法 | 持つ場所、動かす速さ、開いた状態の保ち方 |
| 電動への復帰 | 戻す部品、電源を入れる順序、停止位置の確認 |
切り替え方だけを確認して、電動へ戻す手順を飛ばさないことが大切です。手動操作を始める前に、説明書の復帰方法まで読んでおきましょう。
メーカー別の手動切り替えとシャッター修理
ここからは、各メーカーの公式案内で確認するポイントを紹介します。操作する方向や順序は機種ごとに違うため、自宅の説明書と照合して進めてください。電動に戻す方法も、切り替える前に確認しておきましょう。
三和は商品ごとの操作を確認
三和シヤッターは、停電時の電動商品の操作について、商品別の資料や動画を案内しています。窓用のマドモアと、車庫・店舗などで使うサンオートでは、同じ操作とは限りません。
サンオートもSA6型やSA7Dなどで案内が分かれています。メーカー名だけで手順を選ばず、対象の商品と操作部が一致するかを確かめることが必要です。
三和の停電時の案内では、手動操作中の復電に備え、事前にシャッターの電源を切るよう注意が示されています。該当する取扱説明書や停電時操作資料で、切り替えから電動復帰まで確認しましょう。
三和の窓・車庫シャッターの停電時の流れは、三和シャッターを手動に切り替える方法|停電時の安全な操作手順でくわしく解説しています。
出典:三和シヤッター「停電時や地震発生時における弊社電動商品の操作方法について」(同ページの「停電時の操作方法」公式動画案内を含む。確認日:2026年10月17日)
文化は窓用と軽量式で案内が違う
文化シヤッターは、窓用と、ガレージ・小型店舗などの軽量電動シャッターで案内を分けています。窓用については、一部に手動開閉できない機種があることも明記されています。
軽量電動式には、操作ひも、開放リング、ワイヤ、チェーンなど、複数の方式があります。リングが見つからないから、別のひもを引いて代用する、といった操作はしないでください。
特に軽量電動式の公式案内では、急いで動かす必要がなければ復電を待つこと、手動操作が必要な場合は文化シヤッターサービスへ操作を依頼することが示されています。
窓用の扱いと同じ感覚で、車庫用を操作しないようにしましょう。
出典:文化シヤッター「軽量シャッター電動式の停電時の手動操作について」、同社「窓シャッター電動式の停電時の手動操作について」(確認日:2026年10月17日)
LIXILはハンドルと仕様を照合
LIXILの公式案内では、販売期間が2019年4月以降の電動・スマート電動シャッターについて、室内側から見て左側にある操作ハンドルを使う手動開閉が案内されています。
ただし、旧商品のアリーズ・イタリヤ・クワトロには、SRS・PRS・SSSなどの仕様があります。商品名が同じでも、対応する説明が分かれるため、販売時期と仕様を確認してください。
標準・耐風タイプと採風タイプでは、電動へ戻す方法も異なります。ハンドルが引けない、戻らない場合は無理に力を加えず、該当する案内を確認して問い合わせましょう。
出典:LIXIL「停電時に電動シャッターを開閉する方法」(確認日:2026年10月17日)
YKK APは非常時の操作を確認
YKK APは、電動シャッターの非常時の手動開放について、商品ごとの案内を用意しています。取扱説明書では、非常開放機構などの項目を確認しましょう。
対象製品について、次の点を順番に確かめます。
- 操作部の位置
- 切り替え方
- 持って動かす場所
- 電動へ戻す操作
別のメーカーで見たハンドルの引き方を、そのまま当てはめないでください。
手動錠がある製品では、その状態の確認も必要になります。切り替えたのに開かない場合は、力で持ち上げず、説明書の確認項目と照合してください。非常開放後に電動操作で途中停止する場合も、対象機種に合う復旧方法の確認が必要です。
出典:YKK AP「電動のシャッターを停電時などの非常時に手動で開けられますか。」、同社「シャッターについてのお願い」(確認日:2026年10月17日)
車庫の外から開けられるとは限らない
車庫のシャッターが閉まったまま停電した場合、手動操作部が車庫内にしかない製品では、外から切り替えられないことがあります。屋外操作用の装置があるかどうかも、製品や設置仕様によります。
別の出入口がない場合は、外から無理に板を持ち上げたり、すき間へ工具を入れたりしないでください。防犯部品や板を傷め、修理する範囲が広がるおそれがあります。
購入先やメーカーへは、次のことを伝えます。
- 閉まった状態であること
- 車庫内へ入れないこと
- 屋外操作装置の有無が分からないこと
外から開ける方法が用意されているかを確認してもらいましょう。
手動で動かす間と電動に戻すときの注意
復電による動作にも備える
停電中でも、手動操作の途中で電気が戻る可能性があります。対象機種の説明書にある電源遮断の指示を確認し、家族や従業員がスイッチやリモコンを操作しないようにしてください。
電源を切る場合も、どのコンセントやブレーカーが対象かを確かめてから行います。濡れている場所や、破損した電気設備には触らないでください。
操作中は、シャッターの下を人や車が通らないようにします。非常時の開放操作を終えても、安全に開いた状態を保てると確認できるまでは、通行を始めないことが大切です。
重い・引っ掛かるなら中止する
手動への切り替え手順が合っていても、板が動かない、極端に重い、片側だけ上がる場合は、それ以上力をかけないでください。錠の状態、切り替えの不完全、機械部分の不具合などが考えられます。
バネや軸を調整して軽くしようとする作業は行わないでください。バネが使われている製品では、その状態も開閉の重さに関係します。
また、手を離すと下がる状態では、開けたまま使えるとは判断できません。人が支えて車を出す、荷物を挟んで固定するといった対応は避け、業者へ操作や点検を依頼しましょう。
◆相川のワンポイントアドバイス
手動なら力を入れれば開く、とは考えないでください。説明書どおりに切り替えても動かないときは、そこで止めて大丈夫です。どの操作までできたかを伝えれば、次に確認することを相談しやすくなりますよ。
復電後は電動への復帰を行う
電気が戻っても、手動への切り替えが自動で解除されるとは限りません。操作部を戻す、所定の復帰運転を行うなど、対象機種の手順に従います。
機種によっては、手動開閉後に停止位置の確認や再設定が必要です。LIXILの対象製品では、復帰操作を行わないと、障害物検知による反転や停止位置に影響する場合があると案内されています。
また、手動状態を残すと、手で開けられる状態になる製品もあります。
閉まって見えるから施錠できているとは判断せず、通常の運転状態と施錠の扱いまで確認してください。復帰しない、途中で止まる場合は操作を繰り返さず相談します。
開けられない場合の依頼先
説明書が見つからない、操作部が分からない、手順どおりでも動かない場合は、購入・設置した会社やメーカーの修理窓口へ連絡します。対応するシャッター専門業者も相談先になります。
問い合わせでは、次のことを伝えてください。
- メーカーと型番
- 窓用か車庫用か
- 停電中か
- 現在の開閉位置
- すでに行った操作
傾きや異音がある場合は、その点を最初に知らせましょう。
訪問を依頼するときは、次の点を確認してください。
- 操作だけの対応か、故障点検も必要か
- 出張料や夜間料金
- キャンセル時の費用
電動シャッターの手動操作FAQ
電動シャッターはすべて手動で開けられますか?
すべてではありません。手動開閉できない製品や、利用者自身の操作に適さない方式もあります。メーカー名だけで判断せず、型番と仕様に合う説明書で可否を確認してください。
切り替えレバーやひもが見つからないときは?
別の部品を引いたり、箱を分解したりしないでください。型番や外観写真を用意し、購入先やメーカーへ確認します。操作部がない、または取り付け位置が異なる製品の可能性もあります。
手動にしても重くて上がらない場合は?
力を加えず操作を中止してください。切り替え状態や錠の確認が必要な場合もあれば、機械部分に不具合がある場合もあります。人を増やして持ち上げる対応はせず、操作や点検を依頼しましょう。
復電後にリモコンで動かないのは故障ですか?
手動から電動への復帰が完了していない可能性もあります。対象機種の復帰手順を確認してください。正しく操作しても戻らない、異音や途中停止がある場合は、点検を依頼しましょう。
電動シャッターを手動のまま使えますか?
非常時の操作を、日常の手動運転として使い続けないでください。手動中の施錠や安全機能、復帰条件は機種で異なります。故障している場合は修理し、説明書に従って通常の状態へ戻します。
無理な手動操作は避けてシャッター修理へ
電動シャッターは、停電時に手動で開けられる製品があります。ただし、三和・文化・LIXIL・YKK APでも、機種や設置仕様によって方法は違います。
操作前に、対象機種、手動開閉の可否、切り替え方、電動へ戻す方法まで確認してください。傾きや破損がある、切り替えても動かない、重くて持ち上がらない場合は、無理に操作しないことが大切です。
分からない場合は、外観写真と製品情報、現在の状態を伝えて相談しましょう。操作対応と故障修理のどちらが必要かを確認し、作業内容と費用に納得してから依頼してください。
執筆者:相川


