入口に水があるだけでは、原因を判断しにくいものです。雨が降った後、閉めていたシャッターの内側が濡れている。下のゴムを替えれば止まるのか、それとも建物から雨漏りしているのか。
シャッター周辺の水漏れは、隙間を塞ぐ前に、水が入り始める位置を確認しましょう。下端のゴムや枠の傷みだけでなく、床の傾き、排水の詰まり、外壁側の不具合が関係することもあります。
また、一般的なシャッターは、水をせき止める設備とは限りません。修理で改善する不具合なのか、商品の性能を超える雨や浸水への対策が必要なのかを分けて考えることが大切です。
シャッター修理ガイドの相川です。この記事では、雨水が入る場所ごとの確認点、自分でできる応急対応、水切りゴムやパッキンを交換する際の注意点を説明します。
- 雨水が入り始める位置から考える原因
- 水切りゴム・パッキン・枠の確認点
- 家庭でできる応急対応と避けたい作業
- シャッター修理と建物側の補修の違い
雨水が入る場所を見分ける
水がたまっている場所と、水が入り始めた場所は、必ずしも同じではありません。まずは安全な場所から、水の跡と部品の状態を確認しましょう。
水が入っただけで故障とは限らない
シャッターは、閉めれば完全に水を防げる設備だと思われがちです。ただし、一般的なガレージ・店舗用シャッターと、浸水対策用に設計された防水シャッターは分けて考える必要があります。
たとえば、LIXILオンラインショップのガレージシャッター商品仕様には、水密性能はないと明記されています。この商品では、閉じた状態でも水を完全に遮ることは前提になっていません。
出典:LIXILオンラインショップ「ガレージシャッター/商品仕様」(確認日:2026年10月25日)
そのため、台風などの風雨で内側が濡れたことだけを理由に、本体の交換が必要とは言えません。一方、以前は入らなかった雨が入る、普通の雨でも同じ場所から流れ込むといった変化は、点検時に伝えたい情報です。
確認したいのは、商品のもともとの性能と、以前から変わったことです。内側が濡れる現象をすべて故障として扱わず、劣化や変形による変化も見落とさないようにしましょう。
入口の下から入る水を確認
車庫や店舗の入口で、シャッターの下から水が広がる場合は、下端と床の接し方を確認します。板や下端部材の変形、ゴムの傷み、床の凹凸などが確認対象です。
シャッター最下部の横長の部材を座板と呼び、水切りと呼ばれることもあります。ただし、名称に水切りと付いていても、水圧を受け止める止水板という意味ではありません。
また、外から流れてきた水が床の傾きに沿って入り込んでいる場合は、ゴムだけを交換しても解決しないことがあります。雨の日に入口の外へ水がたまっていないか、排水溝へ流れているかも見ておきましょう。
水の流れを確かめるために、シャッターを閉めたままホースで大量の水をかける必要はありません。自然に雨が降ったときの様子を、安全な場所から記録してください。
左右や上部から入る水を確認
左右のレール付近が濡れている場合は、レールの変形や枠まわりの状態に加え、上から伝ってきた水ではないかを確認します。
上部のケースや枠の周辺から滴る場合は、シャッターだけでなく、ひさし、外壁の継ぎ目、建物との接合部分なども調査対象です。見える場所が濡れていても、その場所が水の入口とは限りません。
雨水は部材の裏側を伝って、別の場所へ現れることがあります。濡れた位置だけにコーキング材を塗ると、水の通り道が変わったり、原因を見つけにくくしたりする場合があります。
◆相川のワンポイントアドバイス
見つけた水を全部拭く前に、安全に撮れるなら写真を一枚残してください。窓や入口の全体と、濡れている部分の両方があると伝わりやすいですよ。
雨の中で外へ出たり、脚立に上がったりする必要はありません。
場所ごとに原因の候補を比べる
相談の準備には、次の表を使ってみてください。原因を断定する表ではなく、何を見てもらいたいかを伝えるための目安です。
| 水が現れる場所 | 確認する主な項目 | 相談時に伝えること |
|---|---|---|
| 入口の下端 | 座板・ゴム・床の凹凸・外部からの流入 | 中央か端か、入口の外にも水がたまるか |
| 左右のレール付近 | レールや枠の変形、周辺の接合部分 | 左右どちらか、開閉時にも擦れがあるか |
| 上部のケース・枠 | 上部の取り合い、外壁、ひさしなど | 滴り始める位置、雨から発生までの時間 |
| 窓の下枠 | サッシの排水、気密材、窓の閉まり方 | 枠内にたまるだけか、室内まで越えてくるか |
| 壁・天井の内側 | 建物側からの漏水経路 | 染みの位置、広がり、雨との関係 |
雨の量だけでなく、風向きによって出る・出ないが変わる場合もあります。分かる範囲で、いつ、どのような雨で起きたかを記録しておきましょう。
変形や腐食があるときのシャッター修理
変形や腐食があるなら点検へ
下端が波打っている、レールが曲がっている、閉めると片側に隙間が残る場合は、ゴムだけでなく本体の状態を見てもらいましょう。
サビについても、表面の変色と、金属が薄くなった腐食では状態が異なります。塗装で覆えば機能まで戻るとは限りません。
異音、傾き、引っ掛かりもある場合は、無理な開閉を止めてください。自分で板をたたいて伸ばしたり、下限位置を変えて床へ押し付けたりするのは避けましょう。
こうした変化がある方は、水が入る場所と動作の症状を一緒に伝えて、必要な点検・修理内容を確認してください。
修理内容は原因に合わせて決める
部品の不具合が確認された場合は、対応するゴムやシール材の交換、下端部材や板の補修・交換、レールや枠の修理などを検討します。
ただし、ゴムなら何でも使えるわけではありません。形状や固定方法が合う部品を選び、安全装置に関係する部分なら、その機能を保つ必要があります。
また、シャッターが正常な状態へ戻ることと、水を完全に止められることは別です。修理で何を改善するのか、どの程度の雨や流入に対する工事なのかを説明してもらいましょう。
部品の供給終了や広い範囲の腐食がある場合は、交換案も比較します。判断の考え方は、シャッターを修理するか交換するかの判断方法でも紹介しています。
窓シャッターとゴム・パッキンの確認
窓シャッターは内側の窓も見る
窓シャッターの裏側が濡れている場合と、室内へ水が入っている場合は分けて確認してください。外側のシャッターだけで、窓まわりの水をすべて遮るわけではありません。
風雨時には、室内側の窓も閉めて施錠します。シャッターを閉めているからと、窓を開けたままにしないでください。
また、サッシの下枠に水があることだけで、不具合とは判断できません。YKK APは、一般的な窓では構造上、下枠に水がたまることがあり、雨がやむと外へ排水されると案内しています。
ただし、下枠にごみがたまると水があふれるおそれがあり、商品の性能を超える風雨でも室内側へ入ることがあります。枠内の水と、枠を越えて室内へ入る水を区別しましょう。
出典:YKK AP「強風雨時などに、サッシのレール(下枠)に水が溜まります。」(確認日:2026年10月25日)
ゴムやパッキンは役割を確認
水切りゴムやパッキンを探すときは、どこに付く、何のための部品なのかを確認してください。シャッター下端のゴム、窓サッシの気密材、後付けの隙間材は、同じものではありません。
切れ、欠け、縮み、外れなどが見える場合は、その状態を写真で伝えましょう。外見から分からない劣化もあるため、自分で引っ張ったり外したりする必要はありません。
ゴムを交換すれば必ず雨水が止まるとは限りません。床や下端が変形していれば、新しいゴムでも均一に接しない場合があります。
また、もともと止水用ではない部品もあります。たとえば、文化シヤッターの正規販売代理店・文化シヤッターテクノの販売案内では、BSパッキンはほこりや地をはう虫への対策用で、止水製品ではないと説明されています。
パッキンという名前だけで防水用途に選ばないでください。
出典:文化シヤッターテクノ「隙間用商品BSパッキン・シャッターブラシについて聞いてみました!」(2026年3月16日時点の掲載内容)
家庭でできる対応と避けたい作業
原因の候補を確認したら、家庭でできる対応と、部品交換・建物補修を分けて進めます。水の通り道を塞ぐ前に、開閉や排水に必要な部分ではないかを確認することが大切です。
まず荷物と電気設備を水から離す
室内や車庫に水が入っているときは、無理のない範囲で紙類や荷物を濡れた場所から移動します。少量の水なら、室内側でタオルや吸水材を使い、床へ広がるのを抑える方法があります。
ただし、吸水材をシャッターの動く部分へ挟んだまま操作しないでください。窓の排水部分や避難・出入りの経路も塞がないようにします。
スイッチ・コンセント・制御機器が濡れている場合は、触れたり動作確認をしたりしないでください。電源を切るために水の中へ入ることも避け、電気設備の状況を修理の受付時に伝えます。
外の水位が上がっている、入口へ水が押し寄せている場合は、原因調査や応急作業を続ける状況ではありません。浸水が進む中で、外へ出て部材を取り付けようとしないでください。
掃除は手の届く範囲にとどめる
雨がやみ、安全に作業できる状態になったら、取扱説明書で認められた範囲の掃除を行います。見えるごみや落ち葉を取り除くことは、排水状態の確認にもつながります。
窓の下枠や排水部分を掃除するときも、カバーや部品を自己判断で外さないでください。穴を広げたり、針金などを奥まで押し込んだりする方法は避けましょう。
シャッター本体へ大量の水をかける掃除も注意が必要です。文化シヤッターの手入れ案内では、電装部品へ水がかかると故障の原因になると説明されています。
出典:文化シヤッター「シャッターのお手入れ方法」(確認日:2026年10月25日)
掃除後も同じ場所から水が入る場合は、作業を増やす前に状態を相談してください。汚れ以外の原因が残っている可能性があります。
テープや充填材で塞ぐ前に
目に付いた隙間へ防水テープやコーキング材を追加すると、短時間で直りそうに感じます。ただ、シャッター周辺には、動くための余裕や水を外へ逃がす部分があります。
レールの内部、板の継ぎ目、排水口などを、自己判断でまとめて塞がないでください。開閉の引っ掛かりや排水不良につながるおそれがあります。
固定された枠と外壁の接合部分に補修が必要な場合も、まず水の入口と既存の施工方法を確認します。目に見える表面だけを覆うと、内部で起きていることが分かりにくくなる場合があります。
虫や風を防ぐ隙間対策と、雨水の入口を直す作業も目的が異なります。隙間対策用の商品を付けただけで、止水できるとは考えないようにしましょう。
ガレージシャッターの虫や風への対策は、ガレージシャッターの隙間対策で詳しく説明しています。
建物側の補修と浸水対策・見積もり
床や外壁が原因なら建物側も補修
入口の外にたまった水が内側へ流れる場合は、床の勾配や排水設備の状態も確認対象です。こうした原因は、シャッター本体だけの交換では解決しない場合があります。
上部や壁の内側から水が出る場合も、外壁、ひさし、接合部分などを調べる必要があります。建築会社や工務店へ、シャッター周辺の漏水として状況を伝えてください。
相談先に迷う場合は、最初に依頼する業者へ、シャッターの部品だけを見るのか、建物との接合部まで調査するのかを聞きましょう。必要に応じて、別の業種の調査を組み合わせます。
賃貸住宅やテナントでは、修理を手配する前に管理会社や貸主へ連絡してください。分譲マンションでも、窓や外壁に関係する工事は管理窓口への確認が必要です。
浸水対策は専用設備と分ける
道路や敷地にたまった水を入口でせき止めたい場合は、通常のシャッター修理と分けて計画しましょう。専用の止水板や防水仕様の設備など、目的に合った対策が必要です。
一般的なシャッターへ市販のゴムを足しても、防水シャッターへ変わるわけではありません。水圧への対応、枠や床との接し方、漏水量などを含めた設計が異なります。
防水用途の商品にも、設置条件や許容される漏水量、使用時の注意点があります。どの商品も完全に水を通さないと考えず、想定する水の高さや設置場所に合うかを確認してください。
水害対策の施工を検討するときは、必要な性能と建物側の条件まで扱う業者へ相談しましょう。日常の雨の吹き込みを直す工事と、浸水を防ぐ工事を同じ見積もり項目にしないことが大切です。
見積もりでは直す場所を確認
水漏れの修理費用は、部品交換、枠の補修、外壁工事、床や排水の改修などで変わります。原因が分からない段階で、一律の修理相場を当てはめることはできません。
見積もりでは、調査で分かったこと、まだ分からないこと、交換する部品、補修する範囲を確認してください。散水調査などを提案された場合は、方法と費用、立ち会いの必要性も聞いておきましょう。
◆相川のワンポイントアドバイス
見積書が分かりにくければ「どこから入る水を、どの工事で減らす予定ですか」と聞いてみてください。直す場所を写真で示してもらうと理解しやすいですよ。
原因が未確認なら、その段階で分かることと、追加調査が必要なことを分けてもらいましょう。
出張・点検料、部品代、工事費、処分費、足場などを含む税込総額も確認します。施工後に再び水が入った場合の連絡先や、対応の条件も決めておくと安心です。
雨水の入口を見てシャッター修理
シャッター周辺へ雨水が入るときは、下端、左右、上部、窓枠のどこから入り始めるかを確認しましょう。水切りゴムやパッキンだけでなく、変形・腐食、床の勾配、排水、外壁が関係する場合もあります。
隙間をすぐ塞ぐのではなく、商品の性能と不具合を分けて確認することが大切です。家庭では安全な範囲の記録と掃除にとどめ、動く部分や排水口へ材料を詰めないでください。
変形や開閉不良がある場合は、漏水の状況と一緒に修理窓口へ伝えましょう。建物側の補修が必要かも確認し、原因に合う工事を選んでください。
シャッターの水漏れに関するよくある質問
シャッターの内側が濡れたら故障ですか?
濡れたことだけでは判断できません。一般的な商品には水密性能がないものもあります。
ただし、以前より水が増えた、変形や腐食がある、通常の雨でも繰り返す場合は、その変化を伝えて点検を依頼してください。
窓のレールに水がたまるのも雨漏りですか?
下枠の中に水があるだけでは、直ちに雨漏りとは言えません。排水される構造の窓もあります。
枠を越えて室内へ入っているか、ごみの詰まりや気密材の傷みがないかを確認してください。
水切りゴムやパッキンを替えれば止まりますか?
劣化した部品が原因なら改善する場合があります。ただし、床の凹凸や本体の変形、外部からの流入が関係する場合は、それだけでは解決しません。
部品の用途と漏水経路を確認してから交換します。
防水テープで隙間を全部塞いでもよいですか?
自己判断でまとめて塞ぐのは避けてください。開閉に必要な部分や排水口を塞ぐと、不具合につながるおそれがあります。
固定された部分の補修でも、水の入口と施工方法を確認する必要があります。
シャッター修理業者と工務店のどちらに頼みますか?
板・レール・ゴムなどの不具合はシャッターの修理窓口へ、外壁や床・排水などは建築会社や工務店へ相談します。原因が不明なら、どこまで調査できるかを最初に確認し、必要に応じて連携してもらいましょう。
執筆者:相川


