シャッターにシリコンスプレーを使えるかは、製品の種類と、吹き付ける場所によって変わります。
メーカーが指定しているレール内部などのお手入れには使えますが、音がする場所へ手当たり次第に吹けばよいわけではありません。
シャッター修理ガイドの相川です。約30年、シャッター修理に携わってきました。
きしみ音や開閉の重さがあるときは、潤滑剤を選ぶ前に、汚れによるこすれなのか、板や部品の不具合なのかを確認することを大切にしています。
使う場所、選び方、清掃から塗布までの流れと、点検を頼む目安を説明します。
- シリコンスプレーを使える場所と使わない場所
- メーカーや機種によって違う潤滑剤の指定
- 吹き付ける前の清掃と周囲への飛散対策
- きしみ音や重さが直らない場合の判断
スプレーの前に確認したいシャッター修理
最初に、使っているシャッターの説明書と現在の状態を確認します。シリコンスプレーは滑りをよくするためのもので、曲がった板や壊れた部品を直すものではありません。
使えるのはメーカー指定の場所
シリコンスプレーは、表面に滑りやすい被膜をつくる潤滑剤です。シャッターでは、メーカーがお手入れ方法として案内する、レール内部などに使う場合があります。
ただし、商品に金属用と書いてあっても、シャッターの金属部分すべてに使えるという意味ではありません。
塗装、樹脂、ゴム、毛状の部材なども組み合わされているため、シャッター側の指定とスプレー側の使用条件の両方を確認してください。
説明書で使う場所を確かめられない場合は、先にメーカーへ問い合わせましょう。音がするからと、上部の箱のすき間へ吹き込むことは避けます。
左右のレールとモヘヤの役割
シャッターの左右にある縦長の部材は、ガイドレールと呼ばれます。開閉する板の両端が通る道となり、板を上下へ案内する部分です。
レール内部に付いているブラシのような毛状の部材を、モヘヤ、またはモヘアと呼ぶことがあります。すべての製品に同じ部材があるわけではありませんが、お手入れの説明によく出てくる言葉です。
LIXILの対象の窓用手動シャッターで案内されている方法
- レール内部やモヘヤに付いたゴミ・ホコリ・砂を取り除く
- モヘヤへ市販のシリコンスプレーを吹き付ける
出典:LIXIL「窓用の手動シャッターの開閉が重い」(確認日:2026年10月17日)
三和でも種類によって指定が違う
同じメーカーの窓シャッターでも、使う潤滑剤が同じとは限りません。三和シヤッターの公式FAQでは、商品タイプによって使えるスプレーが異なると案内されています。
- 対象のスクリーンタイプ:粘度の低いシリコーン系潤滑剤が推奨されています。
- 対象のブラインドタイプ:粘度の低いフッ素系潤滑剤が推奨されています。
粘度が低いとは、どろっとしたものより、さらっとしている性質のことです。シャッター用なら何でも同じと考えず、商品名や型番から指定を確かめましょう。
出典:三和シヤッター「窓シャッターのお手入れに使えるスプレーはどのようなものですか」(確認日:2026年10月17日)
シリコンスプレーを吹かない場所
板のつなぎ目へ一律に吹かない
開閉する細長い板の一枚を、スラットと呼びます。板同士のつなぎ目でこすれる音がする場合もありますが、そこへシリコンスプレーを吹くかどうかは、製品のお手入れ方法に従ってください。
板のつなぎ方、表面の仕上げ、滑りを助ける部品などが製品によって違うためです。別のメーカーや車庫用シャッターの説明を、窓用の製品にそのまま使わないようにしましょう。
板の端が横へずれている、つなぎ目が曲がっている場合は、潤滑より先に点検が必要です。スプレーで音が小さくなったとしても、形の変化や部品の破損が直ったことにはなりません。
内部の機械や電気部品は対象外
利用者が行う通常のお手入れでは、上部の箱を開けて、モーターやバネ、軸、歯車などへ吹き付けないでください。内部の点検や潤滑には、製品に合う知識と作業が必要です。
特に電気部品、配線、制御基板へスプレーをかけることは避けます。制御基板とは、開閉を管理する電子部品が並ぶ板のことです。
また、止まった位置を保つブレーキなど、滑らせてはいけない部分もあります。どこが動いているか見えない箱の中へ、すき間から大量に噴射する方法は行わないでください。
音の出どころが箱の内部なら、外からスプレーを吹き込まず点検を依頼してください。電源を切っても、板の重さやバネに蓄えられた力は残ります。分解して場所を探す作業も避けましょう。
鍵穴や床には付けない
鍵穴へ、シャッターのお手入れ用スプレーをそのまま使わないでください。錠前には専用の潤滑剤を指定するものがあり、レールに使える製品でも鍵穴に適するとは限りません。
床や階段、踏み台、手で握る部分に付着することにも注意します。滑りをよくする製品なので、歩いたり握ったりする場所へ広がらないようにする必要があります。
塗装や接着を予定している面にも、むやみに付けないようにしましょう。作業前に缶の注意表示を読み、周囲への付着を防ぐ準備をしてから使用します。
スプレーの選び方とシャッター修理の目安
使える場所が分かったら、指定に合う製品を選びます。作業は清掃から始め、少量を必要な場所だけに使うことが基本です。改善しないときは、追加で吹き続けず点検へ進みましょう。
おすすめは商品名より適合で選ぶ
シャッター向けのシリコンスプレーを選ぶときは、評判や価格より先に、説明書で求められる種類を確かめます。シリコーン系なのか、フッ素系なのか、専用潤滑剤の指定があるのかを見てください。
そのうえで、スプレーの商品説明にある使用可能な材質、使ってはいけない場所、塗布方法を確認します。シリコンスプレーという名前が同じでも、添加成分や用途まで同じとは限りません。
狭い場所に使うなら、狙った場所へ少量ずつ出せるノズルも選ぶポイントです。ただし、細いノズルが付いているからと、見えない内部へ差し込んで使うものではありません。
製品例も使用条件と合わせて見る
市販品の例として、呉工業のシリコンスプレーは、公式の製品情報でシリコーン系の潤滑・離型剤、無溶剤タイプと説明されています。金属のほか、ゴムやプラスチックなどにも使える案内があります。
ただし、これはスプレーの製品特性であり、すべてのシャッターへの使用をメーカーが認めたという意味ではありません。自宅のシャッターがシリコーン系の使用対象か、塗る場所が合っているかを先に確認してください。
出典:呉工業「シリコンスプレー・製品情報」(確認日:2026年10月17日)
無溶剤という表示だけで、どこへでも使えると判断しないことも大切です。素材への適合と、機械の機能上そこを滑らせてよいかは、別の確認になります。
油性の潤滑剤と使い分ける
シリコーン系、フッ素系、防錆・浸透を目的とした潤滑剤、グリースなどは、同じものではありません。家にあるスプレーが潤滑用だからと、指定品の代わりに使わないでください。
例えば、LIXILの前述の窓用手動シャッターの案内では、シリコンスプレー以外は使用しないよう明記されています。一方、別の製品では専用の潤滑剤が案内される場合もあります。
シリコンスプレーなら全シャッターに適する、油性潤滑剤は全シャッターで禁止、という一括りの判断はできません。使う場所と製品ごとの指定を優先しましょう。
| 確認項目 | 購入前に見ること |
|---|---|
| 潤滑剤の種類 | シャッター側のシリコーン系・フッ素系などの指定 |
| 対象の材質 | 塗装、樹脂、ゴム、毛状部材などへの適合 |
| 使う場所 | 説明書で示された位置に使えるか |
| 噴射方法 | 少量ずつ狙えるか、指定の塗布方法に合うか |
| 注意表示 | 換気、火気、飛散、保管などの条件 |
清掃から確認までの使い方
吹く前に砂やホコリを取り除く
汚れが残ったままスプレーを吹くのではなく、まず指定された場所の砂やホコリを取り除きます。柔らかい布やブラシなど、説明書に合う道具を使ってください。
次のような方法は避けます。
- レールの奥へ金属工具を押し込む
- 毛状の部材を強く引っ張る
- 板の間へ指を入れる
無理なく届く範囲で作業し、窓から身を乗り出さないでください。
電動式は、作業中に動かないよう説明書に従って電源や操作を管理します。シャッターの位置を変える必要があるときは、清掃を中断して道具と手を離し、周囲を確認してから操作しましょう。
周囲を保護して少量ずつ使う
清掃後は、床、ガラス、壁、家具など、付着させたくない場所を紙や布で保護します。風で周囲へ飛びやすい場合や、噴霧を吸い込みやすい場所では無理に作業せず、換気や使用条件を確認してください。
スプレー缶の指示に従い、対象の場所だけへ少量ずつ使います。長時間噴射して液が垂れるほど吹いたり、板の表面全体へ広げたりする必要はありません。塗布する距離や量に指定がある場合は、それを優先します。
布へ吹いてから塗る方法も、直接吹き付ける方法も、自己判断で置き換えないようにしましょう。シャッターとスプレーの両方の説明に合う方法で行い、作業後は付着してはいけない場所へ飛んでいないか確認します。
◆相川のワンポイントアドバイス
たくさん吹くほどよくなるわけではありません。まず汚れを落とし、指定の場所へ必要な分だけ使うことが大切です。音が残ってもすぐに追加せず、どこで鳴っているのかを確認するところで止めてくださいね。
作業後は手や道具を離して確認
開閉を確かめる前に、手、布、ブラシ、養生に使った紙などが動く部分に残っていないか確認します。説明書と缶の案内に従って必要な時間を置き、周囲の安全を確かめてから通常の操作を行ってください。
次の点を見ます。
- 音が変わったか
- 動きが引っ掛からないか
- 左右が同じように動くか
ただし、改善を調べるために何度も開閉する必要はありません。
ガタガタとした振動、傾き、途中停止が出た場合は操作を中止します。清掃や潤滑で変わらない症状を、スプレーの量だけで解決しようとしないでください。
手入れの間隔は説明書で確認
シリコンスプレーを使う頻度を、すべてのシャッターで何か月ごとと決めることはできません。製品の構造や使用回数、砂ぼこり、雨風などの環境で状態が違うためです。
定期的に外観と汚れを確認し、清掃や潤滑の時期は説明書に従いましょう。前回吹いてから短期間で異音や重さが戻る場合は、回数を増やすより原因の点検が必要です。
スプレーによるお手入れと、バネや軸、電動部分の点検は別の作業です。音が静かになったことだけで、内部の状態まで正常と判断しないようにしてください。
音や重さが残る場合は点検へ
こすれるようなきしみ音でも、原因が汚れや滑りだけとは限りません。レールの変形、板のずれ、部品の摩耗、巻き取り部分の不具合などが関係する場合があります。
特に、急に重くなった、片側だけ引っ掛かる、大きな音がする、レールから外れた場合は、潤滑のお手入れより点検を優先してください。内部の部品が壊れていても、外からは分からないことがあります。
依頼先には、購入・設置した会社、メーカーの修理窓口、対象製品に対応する専門業者があります。賃貸や管理物件では、先に管理会社や所有者へ連絡しましょう。
キーキー音の見分け方はシャッターの音がキーキーうるさい|近所迷惑になる前に自分で直せる?
ガレージシャッターの重さの原因はガレージシャッターが重い原因は?修理前に確認するポイントで解説しています。
点検を相談するときは、次のことを伝えてください。
- メーカー名・型番
- 音の出る位置
- いつから重いか
- すでに使ったスプレーの商品名と塗布場所
使用した缶を手元に残しておくと説明しやすくなります。
改善しない症状はシャッター修理へ
シャッターのシリコンスプレーは、メーカーが指定する場所と製品で使うことが基本です。左右のレールやモヘヤへの使用が案内されている場合でも、先に砂やホコリを取り除き、必要な場所だけに使いましょう。
板の変形、内部の故障、電気部分の不具合は、スプレーでは直せません。吹いても音や重さが残る、短期間で再発する、途中で止まる場合は、使い続けず点検を依頼してください。
相談時には、症状に加えて使ったスプレーと塗布場所を伝えます。原因と必要な作業、費用、修理後の保証を確認してから依頼しましょう。
シリコンスプレーの使用FAQ
左右のレール全体に吹けばよいですか?
一律に全体へ吹く方法はおすすめできません。レール内部のモヘヤなど、具体的な場所を指定している製品があります。外側や床まで濡らすのではなく、清掃後に指定箇所だけへ使用します。
シャッターならどの製品にも使えますか?
使えるとは限りません。同じメーカーでも、商品タイプによってシリコーン系とフッ素系などの指定が分かれる例があります。型番に合う説明書で、潤滑剤の種類と使う場所を確認してください。
電動シャッターにも使用できますか?
電動式でも、お手入れに使用できる製品はあります。ただし、使える場所と種類は機種によります。作業中の誤操作を防ぎ、モーター・配線・制御基板などへ吹き付けないでください。
鍵穴にも同じスプレーを使ってよいですか?
レール用として使えることと、鍵穴に使えることは別です。錠前で指定されたお手入れ方法や潤滑剤を確認してください。鍵が固い原因が錠前以外にある場合もあるため、無理に回さないことが大切です。
吹いてもきしみ音が消えない場合は?
追加で吹き続けず、点検を相談しましょう。板やレールの変形、部品の摩耗などが関係している可能性があります。使用した製品名、吹いた場所、音の出る位置を伝えてください。
執筆者:相川


