シャッターが動かなくなった直後は、「とにかく元どおりにしたい」で頭がいっぱいになります。ただ、壊れた形のまま急いで直すと、数年後にまた同じ窓で同じ悩みを抱える——という遠回りになることがあります。
そこでこの記事は、手動と電動を横並びで比べる代わりに、「あなたの、その窓」に絞って答えを出すという進め方をします。
先に結論だけ言ってしまうと、選び方の軸はたったひとつ。その窓を、どう使っているかです。
※この記事は窓のシャッターを対象にしています。ガレージ用シャッターは本体の大きさも工事の規模も異なり、費用の桁が変わる(新規・交換で100〜200万円前後)ため、別のものとしてお考えください。
結論:手動か電動かは「窓ごと」に決めていい
家じゅうを同じにする必要はありません。窓ごとに分けて選ぶのが、いちばんムダのない直し方です。
いちばん伝えたいことを最初に置きます。家じゅうのシャッターを、どちらか一方に揃える必要はありません。
毎日開け閉めするリビングの大きな窓は電動に、年に数回しか触らない小窓は手動のまま——というように、窓単位で分けて選ぶのがいちばんムダのない直し方です。
「電動は便利そうだけど全部替えると高い」という不安の多くは、”全部替える前提”から来ています。その前提を外すだけで、選択はぐっと軽くなります。
では、どの窓を電動にして、どの窓を手動で残すのか。その判断に必要な知識だけを、これから順番に渡していきます。
仕組みの違いは、押さえるのは3点だけ
「動力と操作」「素材と寿命」「音と向き」。判断に効くのはこの3点だけです。
細かいスペックを全部覚える必要はありません。まとめると次のとおりです。
| 見るポイント | 手動式 | 電動式 |
|---|---|---|
| 動力と操作 | バネの反力を利用し、手の力で上げ下げする | モーターの動力で開閉。リモコンや壁スイッチ、機種によりスマホからも操作できる |
| 素材と寿命 | スチール製が主流。導入費は安いが重量があり、経年でサビが出やすい | アルミ製が中心。軽量でサビに強く、寿命が長めの傾向 |
| 動作音 | 開閉時にガラガラと響きやすい | 低速でスライドし、動作音が静か |
| 相性のいい窓 | 使用頻度の低い小窓や高所の窓 | 毎日使う大きな窓やリビングなど、開閉回数が多い場所 |
「重くなってきた」の正体はバネ
手動シャッターが年々重くなる・途中で止まるようになるのは、内部のバネが少しずつヘタってくるためです。
バネは走行距離で消耗する部品なので、同じ手動で直せば、また同じ時期に同じ症状が戻ってきます。「今回で終わりにしたい」なら、この機会に動力そのものを見直す人が多いのはこのためです。
【診断】3つの質問で、あなたの窓の答えが出る
使い方・場所・操作する人。この3つに答えるだけで、その窓の目安が出ます。
ここまでの3点を、あなたの窓に当てはめてみましょう。
30秒でわかる
あなたのその窓、手動と電動どっち?
3つすべて選ぶと、いちばん下に結果が出ます。選び直せば何度でも診断できます。
Q1この窓、どのくらいの頻度で開け閉めしますか?
Q2窓の場所と大きさを教えてください
Q3その窓を主に操作するのは?
電動が向いています
この窓は電動にする価値が高いです
開閉の頻度が高く、手で動かす負担がそのまま毎日の手間になります。ボタンひとつで済む電動にすると、その負担がまるごと消えます。
この診断は窓1つ分の目安です。家じゅうを同じにする必要はありません。
手動で十分です
この窓は手動のままで無理がありません
使う回数が少ない窓に電動を入れても、費用のわりに恩恵を感じにくいところです。ここは手動で直し、その分の予算は毎日使う窓に回すのが賢い配分です。
この診断は窓1つ分の目安です。他の窓は、選び直してもう一度診断できます。
迷いどころです
この窓はどちらもアリ。決め手は現状しだいです
使い方だけでは甲乙つけがたいタイプです。今のシャッターの傷み具合や配線の有無で、手動修理と電動化のどちらが得かが変わります。
この診断は窓1つ分の目安です。判断がつかない窓ほど、実物を見てもらうのが早道です。
診断で「迷いどころ」と出た窓は、使い方だけでは決めきれないタイプです。その場合は、今のシャッターの傷み具合や配線の有無で答えが変わるため、後半の費用の考え方まで読んでから判断すると失敗しません。
ありがちな”後悔パターン”から逆算する
どちらの後悔も、原因はひとつ。「今の使い方」だけで決めたことです。
選び方は、成功例よりも失敗例から学んだほうが早いことがあります。手動・電動それぞれで、よくある後悔の型を挙げておきます。
電動にして後悔しがちな型
勢いで使用頻度の低い窓まで電動化し、ほとんど動かさないのに費用だけかさんだ——というパターン。電動の恩恵は「開け閉めの回数」に比例します。触らない窓ほど、投資が回収しづらくなります。
手動のままで後悔しがちな型
毎日使う窓を費用優先で手動修理したものの、数年後に体力の変化で開閉がつらくなり、結局あとから電動化工事——というパターン。工事を二度に分けたぶん、トータルでは割高になりがちです。
ポイントは、どちらも「今の使い方」だけで決めたことです。
触らない窓に贅沢をせず、毎日使う窓には数年先の体力まで織り込む。この2つを外さなければ、後悔の芽はかなり摘めます。
お金は「今の修理費」だけで決めない
選択肢は「修理」か「新規取付」かの二択ではありません。間に「今のシャッターを活かして電動化する」があります。
費用の話になると、つい今回の見積り金額だけで比べたくなります。ですが判断すべきは、この先、何回お金がかかるかまで含めた総額です。
そしてもうひとつ。多くの方が「手動で直すか、電動を新しく付けるか」の二択で考えてしまいますが、実際にはその中間があります。
選択肢は3段階あります
- ① 手動のまま修理するレールの調整なら1〜2万円、バネ交換なら7〜10万円ほど。症状の程度で変わります
- 1〜10万円
- ② 今のシャッターを活かして電動化する既存の手動シャッターに後付けキットを取り付ける方法。本体・標準工事費を含んだ価格
- 18.1万円〜
- ③ 電動シャッターを新しく取り付ける本体15〜25万円+設置工事3〜5万円+電気配線工事2〜5万円
- 20〜35万円
②の存在を知らないまま、①か③かで悩んでいる方は少なくありません。今ついているシャッターがまだ使える状態なら、丸ごと取り替えずに電動にできます。
見落としやすい追加費用
本体と工事費のほかに、条件によって乗ってくる費用があります。見積書にこれらが入っているかを必ず確認してください。
- 2階以上の足場代業者や現場条件で差が大きい項目です。事前に必ず確認を
- +2〜20万円
- 既存の雨戸・シャッターの撤去1箇所あたり
- +1〜3万円
- ふかし枠(スペーサー)工事窓枠の形状によって必要になります
- +1.5〜3万円
※金額は、サッシメーカーやリフォーム会社が公開している価格をもとにした目安です(参考:TOPPANリフォトル、エクスショップ)。窓の寸法、外壁の素材、電源の位置によって変動します。とくに足場代は出典によって幅があるため、必ず見積りで確認してください。
電動化する窓が複数あるなら、まとめたほうが安い
「窓ごとに決めていい」と最初に書きました。これは今も変わりません。ただし、電動にすると決めた窓が2つ以上あるなら、時期を分けないほうが得です。
後付け電動化キットの公開価格を見ると、その差がはっきり出ます。
| 同時に施工する窓の数 | 総額(幅180cm以下) | 1窓あたり |
|---|---|---|
| 1台のみ | 181,000円 | 181,000円 |
| 2台同時 | 347,000円 | 173,500円 |
| 3台同時 | 498,000円 | 166,000円 |
※税込・標準工事費込みの公開価格です。幅180cmを超える窓は1台192,000円から。電気配線工事や修理が必要な場合は追加になります。
1台ずつ別々に頼むと、そのたびに出張と段取りが発生します。診断をいくつかの窓でやってみて、電動と出た窓が複数あるなら、まとめて見積りを取ってください。
それでも「今回いくら」で決めない
数字だけを見ると電動は割高に見えます。ですが、手動で直した窓のバネが数年後に再びヘタれば、そのたびに工事費が積み上がります。
毎日使う窓に限れば、修理を繰り返すより一度で電動化したほうが、長い目で見て安くつくケースは珍しくありません。
「安く手動で直して終わり」の隠れコスト
今回いちばん安い手動修理を選ぶと、目先の出費は抑えられます。ただし再故障のたびに出張費・工事費が上乗せされ、気づけば電動化1回分を超えていた、ということも。
判断は「今回いくら」ではなく「これから何回」で見るのが失敗しないコツです。
電動と決めた窓で見落とす”3つの落とし穴”
センサーの有無、停電時の手動切替、そして相見積もり。注文前に確認してください。
診断で電動と出た窓については、注文の前に確認しておきたい点が3つあります。ここを飛ばすと「思っていたのと違う」が起きやすいところです。
エレベーターのように必ず止まる、と思い込むのは危険です。センサーのない機種は障害物を検知せず動き続けます。
小さなお子さんやペットがいるご家庭は、障害物検知センサー付きのモデルを条件に入れておくと安心です。
災害で電気が止まったときに、手動へ切り替えて開閉できるタイプかどうか。ここは避難や換気に直結します。
契約前に「手動切替機能の有無」を必ず確認しておきましょう。
大手を窓口にすると、価格に仲介の取り分が乗っていることがあります。シャッターの専門業者へ直接依頼する形にすれば、同じ予算でワンランク上の機種を選べることも。
最低でも2〜3社を比べてから決めるのが得策です。
迷ったら、現地で一度見てもらうのが最短
シャッターが壊れたタイミングは、住まいの使い勝手を見直す数少ないチャンスでもあります。
とはいえ、修理で足りるのか、交換・電動化まで踏み込むべきかは、実物を見ないと判断しきれないのが正直なところです。
「重くなった」というひとつの症状でも、部品交換で直る場合もあれば、本体の傷みが進んでいて交換のほうが結局お得な場合もあります。診断で「迷いどころ」と出た窓ほど、プロに実物を見てもらうのがいちばんの近道です。
最短15分で駆けつける業者や、料金の目安を先に示してくれる相談しやすい業者もあります。「すぐ来てもらえるか不安」「費用が心配」という方も、状態を見てもらうだけなら気軽です。
修理・交換・電動化のどれが正解かは、プロに現状を確認してもらってから決めても遅くありません。
壊れたことは確かに不便です。でもそれは、「これから何年、どんなふうに暮らしたいか」から住まいを選び直せる合図でもあります。費用の大小だけでなく、その視点で選んでみてくださいね。